その唇に魔法をかけて、

 ――金持ちの結婚なんてそんなもんだろ。

 ――ましてやお前のところは跡取りがいない。

 ――グランドシャルムとしては、藤堂みたいな有望な人材がお前の夫として後継として、将来を担ってくれれば安泰だろ。

 以前、花城に言われた言葉を思い出す。

(私、初めから叶わない恋をしていたんだ……)

「深川さん? 大丈夫ですか? 顔色が悪いみたいですが……」

 もの腰柔らかな藤堂の声に美貴ははっと我に返る。