その唇に魔法をかけて、

「はい! お疲れさん、お茶もありがとね!」

 龍也は盆から茶を受け取ると、さっそくずずっと啜った。

「あの、僕は席を外したほうがいいんじゃ……」

 藤堂が遠慮がちにしていると、龍也がそれを制止する。

「何を言ってるんだい、お前も関係ある話だからここにいなさいね?」

「……はい」

 何の話をしていたのか想像しかねていると、龍也がくすっと笑って言った。

「君たちの結婚の段取りについて話をしていたんだよ」

「え……? け、けっこん?」

 単語の意味は理解出来る。しかし、あまりにも突然で美貴は絶句して目を丸くした。

「君たちもいい年頃だし、誠一もひとつの会社を担うことができるくらい頼もしい男に成長した。だから、誠一を深川家に向かわせることにしたんだよ。彼もそれに同意している」

「おじさん、始めからちゃんと説明してあげないと……彼女だっていきなりそんな断片的なこと言われてもわからないですよ」

 藤堂が冷静に諭すと、不足している部分を龍也が丁寧に説明しだした。