その唇に魔法をかけて、

※ ※ ※

 美貴を見送ったあと、花城はひとりチェックインまで喫煙室にいた。

 これで何本目になるかわからない煙草を吸いながら、美貴の涙をこらえる後ろ姿を思い出していた。

 花城は密かにその背中に向かって最後の手話のサインを送った。

 ス・キ・ダ――。

 しかし、それは美貴の胸に届くこともなく、完全に姿が見えなくなってから花城は唇を噛み締めることしかできなかった。

 いつか見た星占いはまんざらでもなかった。

 あの日の朝、花城は龍也に呼ばれて再び不幸のどん底に突き落とされた。

 ――響也、お前に台湾行きを命ずる。

 ――は? なんだよ急に、旅行なんかしてる暇ないんだけど?

 ――旅行じゃない、仕事だ。実はな……。