その唇に魔法をかけて、

 やはり迷惑だったのだろうか。花城は笑顔ひとつ見せない。また拒絶されてしまうのではないかと、美貴の心に暗雲が立ち込めた。

「私、花城さんが帰ってくるまで誰のものにもなりません。東京にも帰りません。わがままだって思われるかもしれませんが……私は、やっぱり花城さんが好きなんです。諦めるなんてできません」

 これだけ言えればもう十分だった。言いたいことが言えればそれでよかった。

 すると、困ったような顔をした花城の表情がやんわりと崩れた。

「ったく、こんな馬鹿な女……初めてだ」

「っ!?」

 花城の放つ矢のように、突き刺さるような辛辣な言葉が返ってくるのかと覚悟をした。しかし、思いがけず美貴は半ば強引に花城の腕の中に引き込まれていた。