「それと俺がお前を幸せにできない理由がもうひとつある」
花城の鋭い瞳がさっと緩み、伏し目がちになると重々しく口を開いた。
「……来週から台湾へ行くことになった」
「え……台湾?」
どういうことかわからなかった。転勤のある職種でもないのになぜ黎明館の総支配人である花城が台湾へ行かなければならないのか。
尋ねる言葉を考えていると、それより先に花城がその答えを口にする。
「親父が俺の知らない間に黎明館の二号館として台湾に新規開業したらしい。今、台湾では日本の旅館ブームでその波に乗っかろうって魂胆だ。基盤を作った親父は俺にその台湾にある黎明館を任せて、おそらくここの総支配人として復帰する気だ」
花城はすっと壁にあてがっていた拳を下ろし、美貴を解放して背を向けた。いつも大きく頼もしい背中だが、今は憂いを漂わせた哀愁のようなものを感じる。
花城の鋭い瞳がさっと緩み、伏し目がちになると重々しく口を開いた。
「……来週から台湾へ行くことになった」
「え……台湾?」
どういうことかわからなかった。転勤のある職種でもないのになぜ黎明館の総支配人である花城が台湾へ行かなければならないのか。
尋ねる言葉を考えていると、それより先に花城がその答えを口にする。
「親父が俺の知らない間に黎明館の二号館として台湾に新規開業したらしい。今、台湾では日本の旅館ブームでその波に乗っかろうって魂胆だ。基盤を作った親父は俺にその台湾にある黎明館を任せて、おそらくここの総支配人として復帰する気だ」
花城はすっと壁にあてがっていた拳を下ろし、美貴を解放して背を向けた。いつも大きく頼もしい背中だが、今は憂いを漂わせた哀愁のようなものを感じる。



