その唇に魔法をかけて、

「お前……やっぱりあの時、聞いてたんだな」

「……はい」

 すると、花城は長く深いため息をついて前髪をかきあげた。

「お前の聞いた通りだよ。藤堂とお前は、いずれ結婚することになる」

「そんな……私、なにも聞いてませんし、それに当人同士の意思も無視して――」

「金持ちの結婚なんてそんなもんだろ、ましてやお前のところは跡取りがいない。グランドシャルムとしては、藤堂みたいな有望な人材がお前の夫として後継として、将来を担ってくれれば安泰だろ」

 花城に言われてようやくすべてを把握した。

 十五年前、初めて藤堂を紹介された時から、そのシナリオは始まっていたのだ。

「お前が黎明館に送り込まれたのは、藤堂と引き合わせるためだ」

「……嘘」