その唇に魔法をかけて、

「失礼します。お茶をお持ちしました」

「ああ、入ってくれ」

 部屋をノックすると、花城の少し疲れたような返事が聞こえた。中に入ると、大きな仕事机の上には書類が積み重ねられ、仕事に毎日追われている様子が窺えた。

「お疲れ様です」

「悪いな、ちょうどお茶を追加しようと思っていたところだったんだ。そこに置いていおてくれ」

 パソコンの画面から一瞬だけ視線をあげ、そして再び戻す。いつものようにスーツをきっちり着こなし、なにかの書類を作成しているのか、長くて見とれるような指がパソコンのキーボードの上を滑っていた。画面を見つめる真剣な眼差しにひとりでに鼓動が踊りだす。