「あの時、部屋の外に人の気配を感じたんです。そしてあの日以来、僕に対する深川さんの態度が少し変わった。まるで避けているみたいに」
藤堂の見透かすような視線を向けられると、言葉がでなくなる。
許嫁の話を立ち聞きしてしまってからというもの、藤堂に対してどう接していいのかわからなくなっていた。それが表に出てしまい、藤堂に訝しく思われたのだ。
「そんなことありません、ていう言い訳はいいよ、これではっきりしたかな……まぁ、わかってはいたけど、深川さんは響也のことが好きなんだろう?」
今までの丁寧な口調まで崩し、藤堂はじわじわと詰め寄るように問う。
「藤堂さん……? すみません、私、仕事がまだ残ってますから 」
どことなく雰囲気の変わった藤堂にわずかな恐怖にも似た震えを覚える。ぐっと拳を握り締め、勢いよく椅子から立ち上がって部屋を出ていこうとした時だった。
「待って!」
踵を返した後ろ手に手を掴まれ、まるで引力に引き寄せられるかのように背後から藤堂の腕の中に閉じ込められてしまった。密着した瞬間、項にふっと藤堂の震える息を感じた。
藤堂の見透かすような視線を向けられると、言葉がでなくなる。
許嫁の話を立ち聞きしてしまってからというもの、藤堂に対してどう接していいのかわからなくなっていた。それが表に出てしまい、藤堂に訝しく思われたのだ。
「そんなことありません、ていう言い訳はいいよ、これではっきりしたかな……まぁ、わかってはいたけど、深川さんは響也のことが好きなんだろう?」
今までの丁寧な口調まで崩し、藤堂はじわじわと詰め寄るように問う。
「藤堂さん……? すみません、私、仕事がまだ残ってますから 」
どことなく雰囲気の変わった藤堂にわずかな恐怖にも似た震えを覚える。ぐっと拳を握り締め、勢いよく椅子から立ち上がって部屋を出ていこうとした時だった。
「待って!」
踵を返した後ろ手に手を掴まれ、まるで引力に引き寄せられるかのように背後から藤堂の腕の中に閉じ込められてしまった。密着した瞬間、項にふっと藤堂の震える息を感じた。



