「一度心に決めた男なら、絶対に手放しちゃだめ。スッポンみたいに食らいつくの、きっと諦めたら後悔するから……本当に自分がどれだけ相手を好きだったかなんて、いなくなってからわかったんじゃ遅いんだからさ」
亡くなった夫、翔の影を思い出しているのか、かえでの瞳が切なげに揺れた。そんなかえでの姿に胸が切なく震えた。
(スッポン……か)
その時、花城に恋に落ちた瞬間を思い出した
それは美貴が東京へ帰って花城に迎えに来てもらった駐車場での出来事だった。
花城は滅多に見せない怒りの感情をぶつけてきたが、それは心の底から美貴を思ってのことだった。
全身に痺れが走って、あんな感覚を初めて味わった。だから、彼の期待に応えたい一心で黎明館でがむしゃらに仕事をしてきた。ここで身を引くことは自分に嘘をつくことになる。
(自分に嘘はつきたくない……許嫁のこと、やっぱり花城さんに直接聞いてみよう。それが吉と出ようが凶と出ようが、後悔だけはしたくないもの……)
こくんとひとりで納得したように頷くと、美貴は自身の中で決心を固めた。
「私、スッポンになります」
そう宣言して、すっかり氷が溶けてしまったレモンサワーを一気に煽った。
亡くなった夫、翔の影を思い出しているのか、かえでの瞳が切なげに揺れた。そんなかえでの姿に胸が切なく震えた。
(スッポン……か)
その時、花城に恋に落ちた瞬間を思い出した
それは美貴が東京へ帰って花城に迎えに来てもらった駐車場での出来事だった。
花城は滅多に見せない怒りの感情をぶつけてきたが、それは心の底から美貴を思ってのことだった。
全身に痺れが走って、あんな感覚を初めて味わった。だから、彼の期待に応えたい一心で黎明館でがむしゃらに仕事をしてきた。ここで身を引くことは自分に嘘をつくことになる。
(自分に嘘はつきたくない……許嫁のこと、やっぱり花城さんに直接聞いてみよう。それが吉と出ようが凶と出ようが、後悔だけはしたくないもの……)
こくんとひとりで納得したように頷くと、美貴は自身の中で決心を固めた。
「私、スッポンになります」
そう宣言して、すっかり氷が溶けてしまったレモンサワーを一気に煽った。



