思い出して欲しい反面、思い出したところでどうすることもできないジレンマに花城はずっと苛まれていた。
男は単純なことで恋に落ちたりする。
花城がその恋に陥ったのは、二年前のことだった。
グランドシャルムで催された深川政明主催の社交パーティに参加すべく、花城は東京へ数日滞在していた。
花城は参加していた経営者の中では一番若く、年配の多い招待客に交じって互いの経営うんぬんの話や、またそのほとんどが自慢話でうんざりしていた。そんな時、主催者の深川政明が自慢げに紹介していたのが、まだ若干二十歳の美貴だった。
気品に溢れて上品に振舞ってはいるものの、まだどことなく幼さの残るその面影に、花城は初めて黎明館で会ったあの時の少女だと確信した。
十五年後の彼女は枯れた雑草の中に咲く一輪の花のようで、深窓の令嬢という言葉がぴったりくる色白の美しい女性に成長していた。その時、花城は情けないことに声もかけられないほど微動だにできず臆してしまい、ただじっと遠目で美貴を眺めていることしかできなかった。
その声も、笑顔も全て自分のものにしたい。そんな横暴な独占欲に掻き立てられ、深川美貴という存在は花城の中に深く刻み込まれた。しかし、所詮彼女は都会のお嬢様で、きっと住む世界が違う。そう思えてきてようやくそんな荒々しい欲望に蓋をしたというのに、再び美貴は社会人として自分の目の前に現れた。
花城はもしかしらた諦めかけた恋のラストチャンスなのではないかと思ったが、それは大いに勘違いだった。なぜなら、美貴はすでに藤堂の許嫁として両家公認だったからだ。
先日、花城は龍也に呼び出されて朝からショッキングな内容を聞かされた。
男は単純なことで恋に落ちたりする。
花城がその恋に陥ったのは、二年前のことだった。
グランドシャルムで催された深川政明主催の社交パーティに参加すべく、花城は東京へ数日滞在していた。
花城は参加していた経営者の中では一番若く、年配の多い招待客に交じって互いの経営うんぬんの話や、またそのほとんどが自慢話でうんざりしていた。そんな時、主催者の深川政明が自慢げに紹介していたのが、まだ若干二十歳の美貴だった。
気品に溢れて上品に振舞ってはいるものの、まだどことなく幼さの残るその面影に、花城は初めて黎明館で会ったあの時の少女だと確信した。
十五年後の彼女は枯れた雑草の中に咲く一輪の花のようで、深窓の令嬢という言葉がぴったりくる色白の美しい女性に成長していた。その時、花城は情けないことに声もかけられないほど微動だにできず臆してしまい、ただじっと遠目で美貴を眺めていることしかできなかった。
その声も、笑顔も全て自分のものにしたい。そんな横暴な独占欲に掻き立てられ、深川美貴という存在は花城の中に深く刻み込まれた。しかし、所詮彼女は都会のお嬢様で、きっと住む世界が違う。そう思えてきてようやくそんな荒々しい欲望に蓋をしたというのに、再び美貴は社会人として自分の目の前に現れた。
花城はもしかしらた諦めかけた恋のラストチャンスなのではないかと思ったが、それは大いに勘違いだった。なぜなら、美貴はすでに藤堂の許嫁として両家公認だったからだ。
先日、花城は龍也に呼び出されて朝からショッキングな内容を聞かされた。



