その唇に魔法をかけて、

(そうだ……あの後、私、花城さんに……キスしたんだ)

 あの当時、キスという行為の意味が本当に元気が出る魔法だと信じていた。母に教えられたこととは言え、今となっては恥ずかしい。

 すっかり忘れていた記憶が鮮明に思い起こされると、顔を隠したくなるくらい沸騰する羞恥心に赤面した。それと同時に、どうしようもないくらい彼を想う気持ちがとめどもなく溢れてきて、もう自分でもそれを止める術がなかった。

「私、好きです……」

「え?」

「花城さんのことが、好きです」

 打ち上げられる花火の音をも凌駕する心臓の音、そして初めての告白にごくりと喉を鳴らした。

 告白する前は、あれこれ頭でっかちになって考えていたというのに、何も考えず本能に従っただけで、自然と
「好き」という言葉がでてきた。

「美貴……」

“お前”ではなく初めて名前を呼ばれた。囁くような艶めいた声音に身体の芯が疼くような感覚がした。