その唇に魔法をかけて、

「砂山でも作るか」

「え……?」

 その声に我に返ると、花火はまだ打ち上げられていてふたりを照らす照明代わりになっていた。花城は返事を待たず、ひとりで先に水打ち際まで行って砂を掘り返し始めた。

「ほら、早く来いよ」

「あ、はい……」

 言われて美貴も後に続く。

 なぜ、いきなり砂山を作るのかわからなかったが、彼に言われるがまま手を下まで突っ込むとひんやりとした砂を掴んだ。

「お前、砂山の作り方知ってるか?」

「知ってますよ」

「ふぅん、じゃあトンネルの作り方は?」

「え……?」

(あれ……? この会話、どっかで……)

 脳裏に散らばっていた記憶のパズル。失っていた一片が現れると、急激に過去の記憶が呼び起こされた。

 ――お前、砂山の作り方知ってるか?

 ――うん! 知ってる!

 ――ふぅん、じゃあトンネルの作り方は?

 ――え!? トンネル? どうやって作るの?

 ――じゃあ、教えてやる。