その唇に魔法をかけて、

 宝石のような花火が夜空を彩り、それが水面にゆらゆらと映って不思議な光景を醸し出している。そして、かんしゃく玉が打ち上げられると、大輪の雫が辺りを照らすように煌めいた。

(あれ……?)

 その時、向こうに見える岬にぽつんと灯台のような影が見えた。せり上がる既視感に勢いよく後ろを振り返ると、長く続く湾曲した浜辺が広がっていた。

(この場所……私、知ってる)

 断片的な記憶が一斉に集まって、ジグソーパズルのようにピースがはめ込まれていくような感覚に全身の動きが止まった。それに気づいた花城が怪訝そうに見下ろしている。

「どうした?」

「……花城さん。私、多分ですけど、ここに来たことがある気がするんです」

 それを聞いた花城が言葉を失って一点を見つめたまま押し黙った。その表情に笑顔はない。

(確かにここに来たことがある。でも誰と……?)

(どうして私がここに……?)

 全部が繋がりそうで繋がらない記憶の糸を手繰り寄せていると、花城が不意に笑顔になった。