「……ぷっ、あっはは」

「あ、彩乃……ちゃん?」

 声を立てて突然笑いだす彩乃に、呆然となる。もちろん笑わせようとして自分の気持ちを話したわけではない。

「ごめんごめん、あんまりにも美貴が真剣だからさ」

 彩乃は笑いすぎて湿った目尻を拭った。そんな彩乃にからかわれているようでムッとしてしまう。

「し、真剣だよ! だって……彩乃ちゃんも花城さんのこと――」

「ひとつ聞くけど、どうしてそんなこと私に話したの?」

 彩乃はもう笑うことをやめ、今度は試すようなことを言ってくる。答えによっては、友情のバッドエンドが待ち受けているかもしれない。そう思うと、波打つ心臓に拍車がかかった。

「それは、彩乃ちゃんが友達だからだよ。私が勝手に友達だって思ってるだけなのかもしれないけど、ここに来た時に初めて気兼ねなく接してくれたのは彩乃ちゃんだから……友達だからこそ話したんだけど……もし不愉快だったらごめんね」

「謝らなきゃいけないのは私だよ。もう! 先になんで謝っちゃうのよ」

 一瞬、彩乃の顔がくしゃっと歪み瞳が潤んだ。