社員旅行の当日。集合は駅前の東口だった。大型のバスが2台停まっていた。 早朝にもかかわらず、おはようの声が明るく飛び交う。 早めに到着した私は、ひとりでそんな景色を窓から眺めていた。 「おはよう」と私の隣に座ったのは田原さんだった。 「おはようございます」 配られていた座席表。隣が田原さんと書いてあってほっとしていたところだった。 「お前、寝れたか?」 「えっ?」 「なんか顔色悪いけど」 「そんなことないですよ」 「まあ、着くまで寝てればいいよ」と自分の椅子を軽く後ろへ倒した。