「そんなことないですよ。だって尊敬してますもん。こっちの呑み会とか、遠山さんも忙しくなかったら、来て下さいね?」と、言うから、驚いた。


そんな風に誘ってくれることなんてないのだから。


でも広重や田原さんみたいに、噂とか気にしない人だっているし。


谷くんや水谷さんみたいに、噂とか知らない人だっているのだから。


そう言ってくれる人がいるのだって、普通のことなのかもしれない。


それなのに、いつも身構えてしまう。


もう過去のことなのに。


過去という視点から、切り替えられないから、こんなことで驚いてしまうんだろう。


なんとなく、ぼんやり思った。


私はここで、仕事ができるとかより、きっと、そういう人間的な繋がりを感じてみたかったのかもしれない。


そんなことが、私の心のうちの小さな願いだったのかもしれない。


そう気づくと、心がさっきよりも温かくなった気がした。


苦手だと、思っていたのにな。


今じゃ、この子だって、好意的に見える。そう見えるということは、私もなにか変われたのかもしれない。