キミが愛しいと気付いたからで






『………美嘉…?
 何…悠斗と話してたの……?』





俺、ではなく、美嘉先輩に問いかける美姫先輩。






『美姫……あの……』



俺と壁に挟まれた状態、この状態では美嘉先輩も返す言葉もないのだろう。







『美姫先輩、ちょうど良かったです。
 俺からこの状況を説明します』



俺のその言葉に美姫先輩の強張った顔が俺を捉える。








『俺が、美嘉先輩に迫ってました。
 
 なかなか美嘉先輩が俺に振り向いてくれないから、どうしたら俺に振り向いてくれるのかって問い詰めてました。

 美姫先輩、俺、美嘉先輩のことが好きなんです』





俺が真っ直ぐに美姫先輩にそう言うと、美姫先輩はその場を勢いよく離れていった。






静かに流れる時間。


振り返れば右目から静かに涙を流す、美嘉先輩。








『美嘉先輩。

 俺、ずっと、美嘉先輩に好きって言いたかったんです。

 こんな形での伝え方になってしまったんですけど、俺は美嘉先輩が好き……』





左の目からも流れる涙、その顔がすごく綺麗で、俺はそんな美嘉先輩にドキッとする。









『………どうして言うの…?

 なんで……そんなこと……言うの…?

 ………好き、だなんて言われたくなかった…!』






美嘉先輩が叫んだ、最後の“好きだなんて言われたくなかった”の言葉が俺の心臓を一突きする。



例えようのない鋭い痛みが体中に広がって、体が動かなくて。




それに気付いた美嘉先輩は俺の元から離れて…





振り向けない、そんな俺の耳に入る、先輩の駆けだしていく音ー…




どんどん離れていく音が更に俺の心臓をぐりぐりと鋭利なもので突き刺していくようで。






俺はその場に立ちつくす、しか出来なかったー…