「どう?」と由美が聞いてくる。

「うーん………」とうなった美弥を振り向いた由美は、その先に視線をとめて、美弥に耳打ちをした。

「美弥の左となり、結構イケてるけど、誰?」

おもむろに左を向いて、美弥は男の顔を見る。

ちょうど、その男も美弥を振り向いた。

美弥は彼のことをよく覚えていた。

「沖田優、よね」

「そう」

「私のこと覚えている?」

美弥をじっと見つめる優から美弥の名前は出てこない。

もういい、わからないなら。