体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「大したことよ! お母さんだってきっとびっくりしちゃう」

「お母さん? て、綾香のお母さん? なんでお母さんがびっくりするわけ?」

「だって……お母さんも優君のこと気に入っているし。だから優君と別れたって思ったら悲しがるもの」

綾香の実家は岡山だ。お母さんも岡山に住んでいる。

「俺、お母さんのこと知ってたっけ?」

「優君はお母さんと会ったことはないけど、お母さんには私がいつも優君のこと話しているから……」

なるほど。

別に腹が立つようなことじゃない。

いつもみたいに無邪気な綾香のクレームだ。

なのに、なぜかじんわりと縛りつけてくるようで、癇に障った。

「こどもじゃないんだからさ、お母さんとか関係なくない? もし別れるときには事前にお母さんに報告しなきゃいけないのかなあ?」

「え……」

予想外の言葉に綾香は大きな瞳をもっと大きく見開いた。

「ごめん。ちょっと疲れて変なこと言った」