体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

その定食屋は美弥のマンションから歩いて100歩くらいの場所にあった。

つまり、とても近い。

年齢層関係なく地元の人でいつもにぎわっている店で、60代の夫婦2人で切り盛りしている。

恵比寿に住むようになってから、美弥は平日の会社帰りも予定のない週末も、しょっちゅうこの店でご飯を食べている。

アジフライも生姜焼きも焼き魚もなんでも美味しいし、この店でご飯をおなか一杯に食べた後には心も満たされるのだ。

ガラガラっとガラスの引き戸を開けると「いらっしゃーい」という、店主の親父さんと奥さんの明るくのどかな声が一緒に響いた。

壁際の二人掛けの席に座ると「私はアジフライ定食と生ビール」と、美弥は注文を即決めした。

「はやっ。俺は……」

初めてこの店を訪れた優はメニューを見ながら迷った。

迷った末に生姜焼き定食とたこぶつと生ビールを頼み、それに「あと、だし巻き卵も」と、美弥が付け加えた。