体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

冷蔵庫から水を出そうとして、少し前に冷蔵庫の前で後ろから抱きしめた優の腕の力の強さを思い出す。

こんな風に思い出にしてはいけない、と思う。

ドキドキしたことをいちいち思い出としてためてしまえば、冷蔵庫の前で、窓際で、ベッドで、部屋のいたるところに寂しさがたまってしまう。

そう、あの白いバスタオルにさえも。

そもそもドキドキするのがおかしいのだ。

あくまでも勉強会と称した体の付き合いだし。

それに寂しくなるのは好きだということだから、この場合、寂しく感じることを防御しようとすることだって変なのだ。

優の思い出に寂しくなる必要なんてない。

美弥は突発的な行動と気持ちの揺れに理屈をつけてみる。

そして今度こそ本当に冷蔵庫から2リットルのペットボトルの水を取り出し、コップに注いで一気に飲み干した。

冷たい液体がツーと体内を降りていった。