体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「なあに? 密輸とかいやよ」

いつもならそこで「なんでわかったの?」とか言って突っ込んでくる生美だが、今回は何も返してこなかった。
ただ「あのさ、」と静かに話を続けながら、美弥のところに歩いてきた。

「優君が彼女と別れたんだ」

生美がなぜ今、優と彼女の話を持ち出すのか、それが生美のお願いとどう関係しているのかわからず、美弥はとまどった。

「だから?」
「実は去年、優君が急に美弥さんに連絡をとらなくなったのにはわけがあるんだ。だからその理由を聞いてあげてくれないかな」
「どうして? もう終わったことじゃない。今は生美くんと一緒にいるのに、今さらなんでそんなことしなくちゃいけないの?」

顔を曇らせる美弥の髪をそっと撫でる生美の表情も不安に翳っていた。