体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

美弥と生美が花見をしたその日、草の百合は岡山に帰っていた。
2つ上の姉の結婚式に出席するためだ。

東京と同じく岡山でも桜が満開だった。
式場の庭園で記念撮影していた姉のウエディングドレスに桜の花びらがそっと舞い降りた。

その夜、百合は学生時代の友達と一緒に食事に出かけた。

女友達2人と男友達2人、そして高校の後輩だという男子が1人で、ちょうど男性と女性が3:3になった。
オシャレではない、昔からある居酒屋の座敷に、テーブルを挟んで男子と女子が分かれて座った。

「こいつ、俺らより2個下の西野拓未。不動産屋のボンボン。会ったことある?」

百合の正面に座った、男子が隣の後輩を指さす。

「うーん、ないと思う。ないよね?」と、拓未に尋ねる。

拓未がうんと首を縦に振る。

「で、なんであなたは拓未君と仲がいいわけ?」
「だってさ、俺こいつの会社で働いてるんだよ。で、拓未も自分とこの会社で働いてるから、高校の後輩で会社の後輩なんだけど、会社の社長の息子なわけよ」