体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

美弥がマガジンラックの上に置かれた小振りの花瓶の花を眺めていると、「生美そのものって感じよね」と、彦摩呂が近づいてきた。

「華道の才能があってルックスも良くて、生美ってハデな感じだけど、本当の生美ってこんなんだと思う。優しくて控えめで、周りを幸せな気分にしてくれる。あなた、いいわねえ。あんな男に愛されちゃうなんて。あの子を泣かせたら、私、承知しないわよ」

冗談交じりに美弥を睨みつけてから、彦摩呂は視線をテラスに移した。
美弥も彦摩呂の視線を追いかける。
生美がいつの間にかテラスに出ていて、柵にもたれ掛かって桜を眺めていた。

「ああ、美しい」と、その背中がため息をついている。