体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「起きてたわよ」
「よかった。今日はなにしてた?」
「会社に行って残業して帰ってきた」と答えて、美弥は自分で笑ってしまう。
「昨日と全く同じね。生美君は?」
「三つ星デパートの春のショーウインドウを飾る巨大フラワーアレンジメントのデザイン作成。実はまだ三つ星の会議室。3月からだから、もう時間がなくてやばいんだよ、って、僕も昨日と同じだ」

2人で一緒に、別の場所で笑ったあと、すこし沈黙してから生美が言う。

「あんまり会えないけど、どこにも行かないでね」

生美が放つ言葉が、甘く心にしみていく。

「行かないわ。生美君こそ、ふいと置き去りにしないでね」
「僕は、しない」

“僕は”とあえて力を込めて言うので、優を意識させるようなことを言ってしまったか、と後悔するが、いいわけすればよけいに気にするだろう。

美弥は「わかってる」と、少し明るめに答えた。