体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「ただ、好きなだけ。泣きたくなるくらいにね。僕、中学生の時から美弥さんにあこがれていて、まさかの再会に驚いた。本当に運命だと思った。だから、お願いだから返事はイエスでいいかな」

幸せな分だけ、不安は募る。
恋愛に絶対はなくて、心の準備もないままに、ある日突然終わることもある、ということを続けて体験したばかりの美弥の心には、ぽつぽつと不安のドットが散っている。

返事をできずにいる美弥に、生美は「ねえ、本当に少しずつでいいから」とすがるような目を向けた。

「ゆっくりでいいから。少しずつ僕に恋をして。でさ、もし、いつかまた優君が美弥さんの元にやってきて、もしそのとき、美弥さんが優君を選んだら、それは仕方がない」

驚いて「え?」と、声を漏らす。

「そうならない自信はあるけどね」

生美はそう付け足して、はにかんだようにシェリーを飲んだ。