体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

もし生美と付き合えば、何かの折に触れて優と比べてしまうのではないだろうか。
今だって、手の形が違うとか無意識に思ったりしているのだから。
そしたら、そうだとしたら、そんな自分に失望し、自分への嫌悪感で窒息してしまうかもしれない。

美弥は優と過ごした短い時間がどれほど濃くて、どれだけ自分の体や心に残っているのか、自分でもわからないから怖かった。

思わず深刻な顔をしていたのかもしれない。

「美弥さん、大丈夫だよ」

穏やかな声に顔を上げる。

「少しずつでいい。少しずつ僕の虜になってくれれば」
「虜?」

冗談だと思って美弥は笑ったが、本気らしい。