体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「邪魔ですもん。これから親密な話するんですから、あっち行っててよ」
「それならなおさら、聞かなくちゃ。親密な話ってなに? え、まさかこれから告白するとか? もしかしてまだ付き合ってない?」
と言い合っているうちにドリンクが運ばれてきた。

ケンさんはまったく席を離れるつもりはないらしく、「じゃあ乾杯!」と真っ先にグラスを上げ、ググッと喉を鳴らしてビールを飲んだ。

「うまい。植物園はむんむんしてるからビールがうまい!」

生美があきれて「ケンさんていい人でさ、仕事もすごいんだけどさ、デリカシーがないの。よくこんなんであんな優雅な庭園とか造れるよね」と言うと、
「お前に言われたくない。生美ってさ、こんなにきれいなルックスしてるけど、デリカシーはないから気を付けてね。こんなんでよくあんな繊細に花をアレンジメントできるよな」と、ケンさんが反撃した。

そしてふと思いついたように「そういえばデリカシーがないと言えばもうひとり、イケメン兄貴は元気か?」と聞き、さらに「確か去年、彼女とここに来て以来、ご無沙汰だな」と、また美味しそうにビールを流し込んだ。

「また余計なこと言って……」と生美はつぶやき、これみよがしに大きなため息を漏らした。

美弥は優と綾香の話が突然出てきて一瞬、胸が疼いた。けれど、彼女は私のせいでもっと何倍も心を痛めたに違いない――そんな風に綾香に心を寄せて、夏の終わり、自分を待ち伏せしていた彼女の姿を思い起こした。