体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

優と父の勇は、1時半にクラブラウンジで落ちあった。

「ビールでも飲みたいけど、そうもいかないな」

美味しそうにビールをすする他の客を見ながら、勇が残念そうにつぶやく。
息子の恋愛トラブルの話し合いに向けて、これっぽっちの緊張感もうかがえない。

「問題が解決したら奢るからあとで飲もうよ」
「解決すんのか?」

優は胡乱な顔を向ける勇の顔をじっと見た。

「そのための会合だし。離婚調停じゃないんだから、解決しないなんてことないだろ」
「そうかなあ」

のんびりとした口調で、不安をあおるようなことを言う。

ラウンジは、エアコンがききすぎるほどに涼しかった。
多分、スーツ姿のビジネスマンにとってはちょうどいいくらいの温度設定だろう。
優も勇もジャケットを着ているので気にならないが、綾香がいつものようにワンピースで訪れたら寒いだろうな、などと考える。