体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

里美の忠告は続く。

「どんな些細な約束事でも証書をかわすこと。あと我が家のモットー、覚えているわよね?」
「互いに迷惑をかけない。互いに協力し合う」
「そう。会社や生美には迷惑かけないで。じゃあね」

こんな事細かに指示を出してくるなら、父に代理など頼まず自分がくればいいのにと優は思ったが、気の強い里美が敦子と喧嘩しても困るとすぐに思い直した。

敦子は一応、フラワースクールの受講生でもある。
社長である母が受講生と揉めたりしたら、それこそ会社に迷惑をかけることになる。

『何を求めているのかしら?』

本当に謝罪以外の何を求めているのか、里美同様、優にも疑問だった。
どうしたら納得してもらえるのだろう。慰謝料だろうか。

綾香と敦子の思惑はまったく見えなかったが、それでも今日で綾香との関係がはっきりすると思うと、優の気持ちは明るかった。