体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「そういえば、綾香のお母さんからうちの本部に連絡があったらしいよ」
「うちのお母さんが?」
「うん。生美の特別講座のチケットを押さえて欲しいって」

おととい綾香は、そのチケットのことで母と口論になった。

「ねえ、優さんの弟の特別講座って、予約がすぐにいっぱいになっちゃうみたいなのよ。あんたから優さんに10名入れてもらえるように頼んでもらえない?」
「10名? そんなに頼めないわよ」
「やだ。もうお友達に約束しちゃったのよ。娘から頼んでもらえば大丈夫って自慢しちゃったし、なんとかしてよ」

その不満げな顔と図々しさにイラッとした。

「なんでそんな勝手な約束するのよ。バカじゃないの!」
「あんた母親に向かってなに、その口の利き方。だいたいあんたのためにフラワースクールなんて通ってるのに」
「なんで私のために通うのよ。そんなの私に関係ないじゃない。お母さんがスクールに通って、なにか私のためになってる?」

売り言葉に買い言葉。
親子喧嘩はしばらく続き、結局今日家をでるときにも「じゃあ帰るから」「はい、気を付けて」と、しらっとしたやり取りだけだった。