体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「生美のだな。今まで一緒にいたから」

生美は髪を後ろに結んでいたが、額にかかっていたものが落ちたのだろう。

「なーんだ、浮気してたのかと思ってドキッとしちゃった。生美くんて、女の子みたいに細くてきれいな髪してるのね」

「ああ。髪だけじゃなくて、すべてが女みたいにきれいなやつなんだ」

車内でのやり取りがあったせいで、優はいつになく生美に対する苦々しい気持ちが残っていた。
綾香は、髪が生美のものだと判明すると、もう髪には興味がなくなって、話をまた拓未に戻した。

「でね、その子、別に頼んでないんだけどいつもBMで迎えに来てくれるから、近所の人は、私のこと彼の彼女って思ってるみたいで。ほら、うちって田舎だから、すぐに話が広まるの。うちのお母さんも結構彼のこと、気に入っていて、『昔からの知り合いだし、彼でもいいじゃない』なんて適当なこというのよ」

綾香はそこでビールを口にし、ちらりと優の顔をうかがった。
綾香にとって、ここはちょっとしたチャレンジで、優から怒られるシーンのはずだった。

しかし優から発せられた次の言葉は、怒られるよりもひどく綾香を困惑させた。