体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「はい、到着」

ぼんやりしながら綾香が自分のことばかり考えているうちに、車は綾香の家の前に到着していた。
わざわざ駅まで迎えに来させておいてランチを断り、自宅まで送ってもらいながらも、車中ではほとんど会話がなかった。だけど綾香はそんなことは気にしていなかった。
ただ、「ああ、もう着いたのか」と思っただけだった。

「有難う」と言ってシートベルトを外している最中に、車の音を聞きつけて母が外まで出てきた。
彼女は今年55歳だが、50を過ぎて急に太り始めた母の姿を見るたび、綾香は自分も将来はこうなるのだろうかと不安になる。

拓未はすぐに車の窓を開け、爽やかな笑顔を向けて、「こんにちは」と綾香の母に挨拶をした。

「拓未君、いつも悪いわね。お昼は? まだなら一緒に食べて行かない?」
「有難うございます。でも、約束があるんで、また今度」