体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

「おい、柏木美弥」

いつまでそうしている気かと呼んでみたが、まったく反応しない。

優はそうっと美弥に近づいていき、水面で脱力している彼女の体を押した。

「ひゃっ!」

不意打ちを食らった美弥は、バランスを崩して水の上でひっくり返った。そしていったん水の中に顔をうずめ、すぐに体を起こすと、

「ちょっと、びっくりするじゃない!」

 と言って優の肩につかまった。

「死んだのかと思って」

「死ぬか! でも、死んでもいいくらいに気持ちよかった」

 葵は優の首に唇を押し当て、それから耳たぶを軽く噛んだ。

 太陽が肌を刺す。

 優と美弥しかいない海。

 優は片手で浮き輪を、もう一方の手で美弥の腰を抱き、お返しに美弥の肩を齧った。

「しょっぱい」

 と優が笑うと、美弥はそう? と言って、優の肩をぺろっとなめた。