体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

その後ろを、優も浮き輪を抱えて追いかけた。

伊豆は東京からそう遠くはないのに、海水の透明度は抜群で、水底の白い砂が透けている。

美弥は海の中を歩いて進み、腰まで水に浸かったところで沖に向かって泳ぎ始めた。

そして背が立たない深さの場所まで行くと、そこでくるりと仰向けになって体を浮かせた。

真っ青な空が広がっている。

海の水の冷たさが、太陽から降り注ぐ熱を中和してくれる。

目をつぶり、全身の力を抜いて水に体をゆだねた。

ゆらゆらゆらゆら、波と一緒に揺られていえると、何とも言えない心地よさに包まれる。

なにもない、ただ夏の真ん中に漂っている気分。

優は浮き輪に上半身を乗せて波に浮きながら、そんな美弥を少し離れた場所で見ていた。

水着から伸びるすらりとした手足を伸ばし、たまに波に傾きながらも目を開けることはなく、まるで眠っているかのようだ。