体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

シックな色合いのペイズリー柄のビキニの上に、Tシャツ。大きなつばの帽子をかぶって美弥は階下に降りると、すでにボードショーツに着替えた優はアイスボックスとタオルを持って美弥を待ち構えていて、「はい、これ持って」と、大きな浮き輪を渡した。

「うわ、夏って感じ」と、美弥がはしゃぐ。

その様子に優は、いとこが昨年使ったまま浮き輪を放置していってくれたことに感謝した。


別荘からビーチまでは、サンデッキからそのまま行けるようになっている。

「海に直結している別荘なんて最高ね」

「台風のときはやばいけど」

2人はビーサンを履いて目の前のビーチまで一斉にかけ出した。

優が肩に担いだアイスボックスの中身が揺れてガラガラと音を鳴らす。

青い空に浮かぶ巨大な入道雲を見上げてから、「ここら辺でいっか」と優が大きなバスタオルを2枚敷いた。

「うん」

美弥はそのタオルの上にTシャツを脱ぎ捨てビーサンを放り出し、海に向かって走っていった。