体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

車の脇でぐちゃぐちゃ言っていた2人はようやく車に乗り込んだ。

優から行き先を聞かされないまま車で2時間走り、到着したのは西伊豆の小さな入り江に建つ2階建ての真っ白で可愛らしい家だった。

海に向いて1階にはサンデッキとプール、2階には広いテラスがある。

目の前に広がる小さなビーチには誰もいない。

まるでプライベート・リゾートホテルのようだ。

「ここって……」

静かな入り江。

波がキラキラと太陽を反射させている。

後ろからはこんもりと茂る濃い緑の中から、セミの声がわんわん響いている。

夏の声しかしない。

夏の音しかしない。