体から堕ちる恋――それは、愛か否か、

優の会社と違い、日本の会社であるSOMYには一般的なお盆休みがある。

それに合わせて優も休みをとったことを綾香は知らない。

8月13日のお盆の初日の早朝、綾香は実家に戻るために品川から新幹線に乗り、優は再び父親から借りた車で美弥を迎えにきた。

朝の8時だというのに気温はすでに30度を超えていた。

「お早う。水着持ってきた?」と尋ねる優の恰好を見て、美弥はあきれる。

「冗談でしょ」

「うけた?」

優のTシャツの胸には『It’s a SOMY』のコピー。前に美弥が上げた会社の宣材だ。

「全然、うけない」と言ってから美弥はにやっと笑い、「じゃあ、これは?」とくるりと背中を向けた。

美弥のTシャツの肩甲骨の下あたりには『We are Micro』のコピーがのっている。

「何、そのTシャツ。俺だって持ってないよ、そんなの。ばっかじゃない」と言って優がうひうひ笑う。