「小学校も一緒で、それも入学して人生最初に隣の席になったのがあなた、沖田優。顔が可愛かったから最初は嬉しかったけど、実はすごい意地悪で、男は顔で判断しちゃだめだって生まれて初めて教わった。中学生になって性格が落ち着いてきたと思ったら、今度はデブになっちゃって、人間最初のルックスがすべてじゃないってやっぱり教えてくれた」

「で、誰?」

小・中一緒だったのに、美弥のことはまったく記憶にないらしい。

「どうせ名前も憶えてないでしょ」

「もしかして俺のこと、ずっと嫌いだった?」

急にからまれて解せないというように、沖田優が美弥を覗き込んだ。

中学生の時にデブちんだった優は、今はたくましいスポーツ体型になっていて、きれいな顔立ちには野性味が加わり、つまりとてもいい男になっていた。