もちろん、繭が言うように、わざと転ぶなんてことはしたくなかったけど。



せっかく繭が考えてくれた作戦だもん。



全力で走れば、あわよくば……。



足がもつれて、転んじゃうかもしれないじゃん?



だから、その可能性に賭けてみた。



でも、結果は……。



「すごいぞ、桐山っ!
陸上部女子の記録よりもタイムが出てるぞっ!!
今日から、おまえ、陸上部に入れ――っ!!」



と、興奮した体育教師にハグされただけだった。