「どうか、当たっていますように!!」

そう願いなら、当選者発表の欄を見る。

phantasm kingのサイン会は、先着120名様。

全国の人が応募するから当選確率は、かなり低かった。

私は、期待を込めて、phantasm kingのホームページ、当選者発表の欄をクリックする。

順番は県ごとになっていて、私は東京のとこを見る、





そこには、








東京都 水城 楓(みずしろ かえで)さん



「…………うそ!!!当たってる!!」


私は、飛んだり跳ねたり、当たったことがあまりにも嬉しくて、テンションがおかしくなっていた。

この喜びを伝えたくて、同じphantasm kingのファンで親友の椿に電話をした。



「もしもし?椿!!!!」

「知ってるw当選おめでとーー!!!」

「ありがとーーー!!!ほんと生きててよかった♡」

「もー、ずるいよー!私はハズレちゃったんだから……。私もキラ様にサイン貰いたかったな……。」

親友はハズレたのに、自分だけ喜んで自慢してるのに気づき、急いで謝った。

「ごめん……。私、一人で喜んで……」

「別にいいよ(笑)…そのかわり、ちゃんと私の分まで楽しんできなよ?」

椿の優しい声に自然と笑みがこぼれる。

「もちろん!!!」

「うん!じゃあ、また明日学校で!」

「うん!!またねー!」

「バイバーイ♪」

電話を切った後、机の上にあるカレンダーをみつめる。

サイン会は来週。

本物のあっきーに会えるのは、

本当に楽しみで……。

ドキドキして……。

来週が待ち遠しかった。













そしてついに、当日がきた。

「やっと……。あっきーに会える!!」

サイン会は10時からなのに、私は朝早く起きて、準備をしていた。

あっきーが好みだという、ツインテールにして、カラコンは赤!

あっきーの、髪の色と一緒(笑)

服は、あのときと一緒にした。

白のワンピースで、胸元にはピンクのリボンがついている。

体型があまり変わらない私は、二年前の服でも普通に着ることができた。

緊張するけど、頑張らなきゃ……!


私は大切なCDを持って、家を後にした。






サイン会場に着くと、周りは当然のようにファンばっかり。


鬼娘(あっきーのファン)は、ツインテール。

獅子(キラ様のファン)は、露出の高い服。

甜女(てんてんのファン)は、てんてんがやってる JewelryCoffinのアクセサリー。

陽男(ハルきんぐのファン)は、ハルきんぐがデザインした、パンだのTシャツ。


私と同じ鬼娘は、全員ツインテール(笑)

みんな考えてることは同じだよねw

あっきーに会えるのは、30人だけ。

私は最後だった。

サイン会が始まると、会場はさっきより賑やかになり、サインを終えて帰ってくる女の子はみんな、涙を流してた。

色紙や各キャラクターの人形、Tシャツにサインをもらっている。

数分後。


ついに、私の出番が来た!

CDにサインしてもらうと決め、私はゆっくり深呼吸し…。



スタッフ「悪鬼さん、次の人で最後です」

悪「おっけー!」


スタッフ「では、どうぞー!」

スタッフさんの合図の後で、ゆっくりと前に進んだ。

そこには、昔と変わらない優しい目をしたあっきーがいた。

悪「今日は来てくれてありがとーー♡」

この時点で私の心臓は爆発しそうなほど、ドキドキしてる。

「お会いできて、嬉しいです……///」

きっと、顔真っ赤だろうな……///

悪「僕も嬉しいよー!ツインテール可愛いね♡」

そんな、とびっきりとスマイルで微笑まないでくださいっっ、///

私、耐えられるかな(笑)

「あのっ、サインっ、お願いします!」

力いっぱい、握りしめていたCDを

あっきーに渡した。

悪「はーい!!おっ、CDなんだ!おけおけ!」

恥ずかしくて、私は書いてもらってる間ずっと下を向いていた。


キュッ




響くマジックの音。


そして、



カチッ。





マジックのキャップがしまる音がした。




悪「はい!どーぞ!」

顔をあげると、そこには、あっきーのサインが!

私は精一杯の笑顔で微笑む。

「ありがとうございます!(微笑む)」

このCDは数少ない中の一つだと思うと

自然と頬が緩んでしまう。

そんな、私にあっきーは、少し頬を赤らめ、一瞬沈黙の後……。

悪「っ…///。君っ、やっぱりあの時のっ…」

そんな、あっきーの言葉を遮るように、スタッフさんが入ってきた。

スタッフ「時間になりましたー!おしまいでーす!」

まだ、言いたいことはあったけれど、
スタッフさんに言われ、私は出口へと案内された。

サイン会が終わった後も、私の鼓動は、ずっと早いまま。

さっき、あっきーが何て言おうとしたのか気になったけど、それよりも今この手にあるCDのことで、私の頭はいっぱいだった。

そんな私を呼ぶ女の子が3人。

「楓さーん!行こー!」

呼んでくれたのは、さっき知り合った鬼娘の人たちだった。

この後、みんなであっきーの話をしようー!と誘われたのである。

私は手に持っていたCDを大事に鞄の中にしまった後、鬼娘の人たちと会場を後にした。