…でもあたしは、お化け屋敷は嫌いじゃない。
むしろ好きだし、麻也くんとここに来た時は絶対にお化け屋敷にも入っていた。
だけど、今のあたしにはいろいろ耐えきれないのだ。
ドキドキしすぎて苦しい現状が。
それに…
「っ…あ、あたし、ちょっとトイレに行ってきます」
「!」
何気なく高瀬先輩につながれていた手も辛くて、あたしは避けるようにその手を離すと、
高瀬先輩の返事を聞かずに逃げるようにその場を後にした。
「あ、麻美ちゃ…!」
「…っ、」
奥手すぎるあたしが、いけないのかもしれない。
墓穴を掘っているのもわかる。
でも、ずっと憧れていた先輩と今日いきなり二人きりになって、
二人きりで遊園地に来て、
しかも後々告白をしなきゃいけないなんて…。
今のあたしには、どう考えても無理だ。
麻也くんは「麻美ちゃんなら大丈夫」とかなんとか言ってくれたけれど、今の自分じゃそう思えない。
あたしは走って高瀬先輩から離れると、そのままトイレではなく建物の陰に隠れた。
「っ…はぁ…」
…だって、あたしは今までに好きな人と二人きりになったことがないのだ。
ましてやこれから入ろうとしているお化け屋敷なんて本当に二人きりになっちゃうし、
まだ先に待っている観覧車だって狭い密室の中で二人きりになってしまうじゃんか。
どーして今日に限って風邪なんか引いたんだ、バカ麻也…。

