狭い路地から出て歩きだすと、一通りが多くなった所で


「おい、見つけたぞ莉乃」


「本当だ」


賢ちゃん達に見つかってしまった。


前から追いかけてきて、どうしよう彼を見る。


すると


「ちっ……まだいたのか」


有川くんは嫌そうな顔をした。


また走って逃げるのかなって


思っていたら、今度は違くて


グイっー。


突然、私の腕をとって引き寄せた。



「え……っちょ、」



ぐらっと体制を崩したその瞬間、

ちゅっと柔らかい感覚が唇にあたる。


「ん……っ」


そう。


それはまぎれもなく有川くんの唇だった。