「見てた?」


莉乃は僕のハンカチを受け取りながら言う。


「まぁ少し……」


ここで嘘をつくのもよくないから

僕は素直に言うと彼女はハンカチを見て言った。


「そっか、

潤もこんなこと、するんだね」


涙をふきながら小さく笑う彼女。


昔の僕はこんなこと、しなかったって言いたいんだろう。


「だって莉乃は僕の前で泣かなかったじゃないか」


泣いてなきゃ

ハンカチを差し出すことなんて出来ない。


その当時、僕が差し出すタイプではないのは確かだけれど。


「潤が泣く子は嫌いって言ったからだもん」