「おう、」


うつむいて賢人が去るのを見ないようにしていると


「莉乃。」


彼はまだ私の目の前にいた。


「顔、あげろよ。」


私の顎に手をあてて、ぐっと上を向かせる賢人。


「ここんとこ、元気なさすぎ。」


「え、」


「気付いてないとでも思ったか?

お前のことならなんでも分かんだよ」


ドキ、ドキ、ドキ。


「有川と最後の話し合い

不安なんだろうけど、俺たち頑張って来たんだからよ

自信持て!絶対に伝わるから」


バカ……、全然分かってないじゃん。


私が落ち込んでいる原因は潤なんかじゃないのに。