このままじゃ莉乃が溺れちまう。


「おい、莉乃!こっち見ろ

俺の顔を見ろ」


そうやって叫んだ瞬間

下を向いていた莉乃は顔を上げ、少し体が浮いた。


今がチャンスだ!


ぎゅー。


俺は莉乃の体をしっかり支えて

岸まで連れて行った。


良かった……。


未玖を探すと、少し離れたところで

有川が岸まで連れて行っていた。


みんな無事か……。


ほっとして莉乃に目をやると、彼女は小さく震えている。


そしてぎゅっと俺の腕に掴まっているが。


「…………ちょっ!おま……っ」