「お前が抱きついて上書きしてくれてもいいぜ?」


ドキ。


ニヤっとからかうように笑った賢人に思わず心臓が音をたててしまった。


「冗談やめてよ、虫よけスプレーならあるけど」


ポケットに入れていた虫よけスプレーを賢人に向けると。


「うわ、お前やめろつーの」


完全にいつもの賢人だ。


……元気になって良かった。


賢人が元気じゃなきゃ、私の調子も出ないから。


私は虫よけスプレーから逃げる賢人を見ながら


思わず笑顔になったー。