「……叩いてごめんね」


まず最初に言ってきたのはそれだった。


「あの時……感情的になって、叩いちゃった……

初めて潤が許せないって思った。


だけど、これは潤が決めることなのに

私が怒る資格なんてないんだって気付いて……」


正直、挑発したようなもんだ。


僕が挑発したのは、あの男の方だったけど

悪いのは莉乃じゃない。


「別に。気にしてないし、謝らなくていい」


ま、まさか莉乃がビンタをしてくるとは思わなかったけど


歩いて、また沈黙になる。


いつもうるさい莉乃だったが、今日は大人しい。