鞄を持ってゆっくり廊下を歩くと人はとうほとんどいない。


「はあ」


今日は久しぶりに一人で帰れる。


いつもは吉田さんがちょろちょろと付いてくるけど

今日はいないから気が楽だ。


そう思って下駄箱を開けた時、


ガター


目の前に、クツを履いている女子がいた。


…………。


その女子のことを僕は知っている。


「潤……」


クツを履き終えた彼女が顔を上げると

僕は莉乃と目が合った。


気まずいのは僕より、彼女の方か。


莉乃は僕からパッと目を逸らした。