【潤side】



パシンと激しい音を立てるビンタをされたのは初めてだ。


それもまさか、莉乃にされるなんて。


じくじくと痛む頬を押さえていると

目の前にいる彼女は心配そうな顔をして覗き込んできた。


「あ、あの……大丈夫?」


出て行った2人を追いかけなかったのか……。


「いいの?キミ、全然アイツと話してなかったけど」


「あ、うん。今は何話したらいいかも分からないし……」


そう言いながら、カバンの中をゴソゴソ漁ると

彼女は何やら鞄の中からポーチを出してきた。